seamlessSewing
限りなくゼロに近い縫い目。
dadadaを縫い上げるのは、「フラットシーマ」という特殊ミシン。
その中でも、1962年頃アメリカのユニオンスペシャル社が開発したヴィンテージミシンです。
「平面縫製」という段差のない縫い目は、
まるで縫い目が消えたかのような滑らかな着心地をもたらしてくれます。
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4本の針と6本の糸。
フラットシーマは、4本の針と6本の糸を巧みに操り、2枚の生地を1枚のように一体化させていきます。縫製距離に対して贅沢なほど多くの糸が使われ、波打つような振り糸が生地の表面に美しく現れます。
その仕上がりは、ただの縫い合わせではありません。
まるで一枚の布のように、段差なく、違和感なく、身体のラインに沿うように滑らかに溶け込みます。この縫い目には、高い伸縮性と柔軟性が宿っており、動きに合わせて自然に伸び縮みします。
縫い目が擦れる、そんな小さなストレスを感じさせない——
まるで縫い目そのものが、着る人の存在に寄り添うかのように。
もともとは、スポーツウェアやベビー服といった、極めて繊細な用途のために発達したこの縫製技術。
dadadaはそれを肌着に用いることで、肌に直接触れる衣服の“本質”を見直しました。
敏感肌の人にも優しく、1日を通して快適さが続く縫い目。
それは、意識させないからこそ価値のある、ミシンの静かな美意識です。

五十年余の糸跡。
1970年に生まれた和歌山の小さな縫製工場では、半世紀以上もの間ずっとミシンが回り続けています。機械は古くなっても、精度はむしろ研ぎ澄まされていく——。
そう信じてきた職人たちの手が、この工場の価値をつくってきました。
生地が衣類に変わる瞬間、それが縫製作業。
この作業は、いわばニットの聖地和歌山のファイナルタッチです。
針を落とす角度、糸の張力、押さえ金の圧力。
数字には表せない感覚を、体で覚え、目で追い、音で確かめながら、
何千、何万もの縫い目を積み重ねてきたのです。
この工場では、世界に名だたるハイブランドも数多く縫製されています。
ラベルに工場の名は刻まれなくとも、職人の矜持は縫い目に宿る。
dadadaは、その技術の上に生まれたファクトリーブランドです。

有限会社オランジェ
和歌山県和歌山市で縫製事業を行う。1970創業より50年以上、国内外のハイブランドをはじめ多数の一流メーカーの縫製をOEM二点担当する。2025年よりオリジナルブランド「dadada」の試作製造に着手。信頼のメイドインジャパンの技術を将来に継承することを目標に、着る人にワクワクするような感動体験を届ける。
(写真:代表取締役 西田晴美)
