gentleFabric
三分の一。 これはdadadaの生地を編む「速度」。 丸編み機の速度をあえて落とすことで、糸はゆっくりと絡み合います。 私たちは知っています。柔らかさは「時間」の中に宿る事を。 時間を贅沢に使う、和歌山ニットならではのラグジュアリー。
ゆっくり編むという、贅沢。
「ゴォン…ゴォン…ゴォン…」 大きな丸編み機がゆっくりと回転し、生地を編む音が工場内に響いています。 ここは和歌山市の郊外、田園風景の中にポツンと佇むニット工場。dadadaのニット(シルク生地)はここで編まれています。 丸編み機が生地を編むのはこの工場では見慣れた風景です。しかしdadadaの生地を編む時ただ一つ違うのは、それは丸編み機の回転が通常のニットを編む速度のわずか三分の一の速度であるという点です。
あえて速度を落とすことによって、生地をふんわりと滑らかに仕上げる工夫がそこにあります。 速く編めば、それだけ沢山のニットが製造できる―それは周知の事実。製造量を増やすには必要な事です。しかし、dadadaの生地はあえてその選択は取っていません。 「最高の生地を作る」という目的に合わせ、適切な速度を選択する??それは、職人として実に合理的な判断。そしてこの判断は、長年にわたり素材の質と真摯に向き合ってきた結果、産地として蓄積された深い知見に裏打ちされたものなのです。

丸編み機の針は、円筒状に並んだシリンダーを回転させながら、糸を立体的に編み上げていきます。編地は筒状に形成され、縫い目のない滑らかな仕上がりに。これは丸編みならではの構造です。
この構造により、布地全体に均一なテンションが保たれ、身体の動きにやさしく寄り添う、伸縮性と快適性を実現します。 しかし、生地の肌ざわりを決定づけるのは、針の数でも、糸の素材でもなく??その速度。高速で編めば、糸に強い引っ張りがかかり、生地は硬く詰まりやすくなります。 ゆっくり編むことで、糸は張りすぎることなく自然なテンションを保ち、ふっくらと空気を含んだ生地が生まれます。

肌に寄り添い、肌と一緒に呼吸する。
包み込まれるような、頼もしさ。 貴方の肌に寄り添う事を第一に考えられた着心地の生地を、dadadaは実現しています。 滑らかに、そしてしっかりと肌に沿うフィット感は、 丁寧に、ゆっくりと時間をかけて編まれた証です。
ただ柔らかいだけではない。 芯がありながらも、尖らずに馴染む。 そんな生地が、肌と一緒に、呼吸をする。 着た瞬間に感じる心地よさは、 速度を落とし、妥協を許さず編まれた、その積み重ねに宿っているのです。
言葉を尽くすより、一度袖を通してみてください。 その瞬間にきっと、すべてがわかるはずです。

株式会社オカザキニット
和歌山県和歌山市にある老舗ニットメーカー。和歌山ニット産業がピークを迎える1950年にメリヤス肌着用の生地編立製造として創業(岡崎莫大小工場)。1973年に株式会社オカザキニット設立。常に新しいモノづくりに取り組んでおり、糸や原料からの作り込みを行う企画・開発も手掛けている。 (写真:代表取締役社長 岡崎秀昭さん)
